正欲(新潮文庫)
-
- ¥950
-
- ¥950
発行者による作品情報
自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
APPLE BOOKSのレビュー
『桐島、部活やめるってよ』で鮮烈な作家デビューを果たした朝井リョウによる、作家生活10周年の記念作『正欲』。序盤から「多様性、という言葉が生んだもののーつに、おめでたさ、があると感じています」と挑発する。心の奥底深くから発せられたであろう誰かの独白は、読み進めるのをためらわせるほどの緊張感に満ちている。不登校児童を育てる検事の寺井、地方のショッピングモールで働く夏月、そして大学の学園祭実行委員の八重子。年齢も場所も職業も違う3人が、ある秘密を巡りつながってゆく。SNSで見かける「~とつながりたい」というポジティブなハッシュタグに、どんな裏のメッセージが隠されているのか。誰かの役に立ちたいという正義感は本当に正義なのか。読むと「多様性」「みんな違ってみんないい」といった肯定的な言葉の基準が揺らぐ。浅井自身も「明らかに大きなターニングポイント」と語る衝撃作は、2023年に実写映画化。
カスタマーレビュー
うーん
評価が難しい
すごく好き。
もともとかけてた色眼鏡に、別の色が足されていくみたいだった。おもしろかった。
受け入れられない多様性
多様性が訴えられるような社会になっても、受け入れてもらえない人たちが存在する。その人たちに何かしてあげたい気持ちもあるが、放っておいてあげたい気持ちもある。この作品を読んで、今まで自分が安易に連用し、理解し受け止めたいと思っていた『多様性』の意味の狭さを実感した。
評価しがたい作品だが、できるだけ多くの人に読んでもらいたいため星5にする。