脳男 新装版
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- ¥880
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発行者による作品情報
猟奇的な連続爆弾犯のアジトで発見された、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。
あらゆる感情が欠落した男。男の正体の解明に挑む精神科医と共に事件の核心にたどりついた刑事が見たものとは。
全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。2000年週刊文春ミステリーベスト10 第1位。
APPLE BOOKSのレビュー
映画化され、続編も出ている傑作ミステリーの第1作『脳男 新装版』。爆弾魔のアジトにいた謎の男、鈴木一郎の精神鑑定を依頼された精神科医の真梨子。一郎の過去を探る中で真梨子が体験する違和感と、現実世界での難事件が同時進行する。どこにでもいる平均的な若者のようでありながら、抜群の記憶力と語学力を持ち、犯罪者を淡々と殺せる「脳男」の正体とは。心のない一郎のために涙を流す真梨子との心の交流に胸を打たれ、時に見当違いな言動を取る刑事、茶屋の人間味のある姿もほほ笑ましい。その他の登場人物も個性的で、敵も味方も何かあるのではと思わせる不思議な存在感。だからこそすべてがストイックな一郎の違和感がより際立つ。やがて明らかになる一郎の正体に驚愕(きょうがく)しつつ、読者はもう一郎の行動を拒絶できない。むしろ応援したくなってしまうような、新たなヒーローの誕生だと気が付くだろう。事件解決というミステリーの中に、人の本質を探し出すというミステリーが内包され、二重に楽しめる。