舞姫
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3.5 • 337件の評価
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発行者による作品情報
1890(明治23)年に雑誌『国民の友』に発表された森鷗外の処女小説。『うたかたの記』『文づかひ』と共に「独逸三部作」と呼ばれる。4年間にわたるドイツ留学時の恋愛体験を元に、手記という形で恋人エリスとの悲恋が綴られる鴎外初期の代表作で、1989(昭和64)年に、篠田正浩監督により郷ひろみ主演で日独合作で映画化された。1888年(明治21)年に鴎外はドイツ留学から帰国。その後を追うようにドイツ人女性が来日し、この女性こそ作中の恋人、エリスのモデルではないかとされている。発表直後に主人公の意志薄弱さを批判した文芸評論家、石橋忍月と鴎外の間で「舞姫論争」が起こり、これが日本で最初の本格的文学論争と言われている。
APPLE BOOKSのレビュー
勉強一筋で育ったエリート青年が、赴任先のベルリンで出会った少女との恋をきっかけに、人の道を踏み外してゆく物語。内向的な性格の太田豊太郎は幼いころに父を亡くし、母親の期待を一身に背負って出世街道を突き進む。官僚となった豊太郎は辞令を受けドイツのベルリンに留学した。異国の風景に目を奪われ、夢のような3年が過ぎたころ、彼はある日街中で泣いている少女エリスと出会う。彼女の貧しい暮らしぶりを知り、成り行きで金銭を用立てる豊太郎。やがて2人は恋に落ちるが、エリスに妊娠の兆候が表れたころ、豊太郎に帰国と出世につながる転機が訪れる…。和文と漢文が混ざり合った文体は現代の読者にはやや難解ながらも、豊太郎が切々と語る胸の内は驚くほど生々しく迫ってくる。他人の敷いたレールを疑うことなく進んできた青年の未熟さや身勝手さを、完全に他人事として切り離せる人間は、そう多くないだろう。むしろ若者が自立しにくいといわれる現代こそ身につまされる物語であり、古典の枠を超えて、今を生きる人の胸をざわつかせている。
カスタマーレビュー
異国の地での愛憎劇。
何か懐かしい感じのする小説です。花の巴里での男と女。故郷に錦を飾るのが昔の人の夢だったのですね。割り切れない思いを抱きつつ。
Hhh
Huj
読みにくい
現代仮名遣いに直すだけで随分と読みやすくなると思う