銀翼のイカロ‪ス‬

APPLE BOOKSのレビュー

日本中を熱狂させたテレビドラマ『半沢直樹』の原作となるシリーズ第4弾。出向先の子会社、東京セントラル証券から東京中央銀行に復帰した半沢直樹は、破綻寸前の帝国航空を担当することになる。立て直しを命じられた半沢は、500億円もの債権放棄を要求してきた政府の再生タスクフォースと激突する…。再建屋の及原を筆頭に、国土交通大臣の白井、進政党の大物である箕部、そして東京中央銀行常務の紀本ら、外と内に敵を抱えた半沢はさすがに分が悪い。政治家の思惑や行内の派閥争い、そして銀行内部の大きな闇に直面して四面楚歌となるも、金や利権に群がる輩の悪事を暴き、待ってましたの“倍返し”を行う。しかしさすがに手際よく解決というわけにはいかず、つわものを相手に激しい接戦を繰り広げる。その中で、人を人とも思わぬ相手に毅然とした態度を取り続ける半沢の姿に、読者は社会人としての良心を見て、思わず拍手喝采を送るだろう。半沢の気概は、日本中のすべての働く人々を鼓舞せずにはおかない。経済小説であり極上のエンターテインメントであり、そして至極の人間ドラマだ。