銭形平次捕物控
発行者による作品情報
巾着切(きんちゃくきり=すり)に三百八十両という大金を取られてしまい、両国橋から身投げしようとした横山町の大店「増屋」の養子・徳之助とその恋人・お富を間一髪で助けた銭形平次。もと巾着切だったお富の父親・彦兵衛の話から、下手人は描き菊石(あばた)の東作という兇賊であることが判明する。大金を取り返すため、悪党仲間であった東作と交渉する彦兵衛だが…。「金を抜いて娘をくれと抜かしやがったな。手前(てめえ)は江戸の巾着切の面汚しだ。弁天様のやうな娘を、そんなモモンガアの餌にしてたまるものか。少しは目が覚めたか、馬鹿野郎ッ」。愛娘のために一世一代の働きをする彦兵衛が本当に格好いい。感動。人気捕物小説の一編。