変身
-
-
3.9 • 900件の評価
-
発行者による作品情報
カミュの『ペスト』と並び不条理文学の代表作とされるフランツ・カフカの世紀の傑作。ある朝目覚めると、巨大な虫になっていた男の葛藤とその家族の顛末が描かれている。なぜこんな異常な事が起きたのか? その謎はまったく究明されないまま、巨大な虫としての日常が繰り返されていく。そして、家族もまたその渦に巻き込まれ、苦悩の日々を送るのみでなんの解決策も見い出せない。そんな日常をカフカは淡々と事実のみを描写していく。読者によりさまざまな解釈を呼び起こす、世界を震撼させた不条理文学の金字塔。
APPLE BOOKSのレビュー
朝起きたら気味の悪い虫に変身していた男の運命を描く『変身』。なぜ虫になったのかという読者の疑問を置き去りにして、虫として生きる日々をグロテスクに描いた本作は、ひたすら救いのない話といえる。けれども不思議と闇に引きずり込むような陰鬱(いんうつ)さはなく、淡々とした語り口が、かすかなおかしみを帯びている。人生最大の危機にもかかわらず、まずは差し迫った仕事をどうするか考えてしまう主人公の心のありようや、恐怖におののきながらも次第に男の世話に慣れていく家族の変化など、すべてのエピソードが妙に生々しい。状況説明を最小限に抑えた構成故に、本作は時代の変化とともに多様な解釈を受け入れながら読み継がれてきた。心の不調や家族介護の問題、社会からの孤立など、多様な課題が生まれる現代社会においても響き合うところは多い。そしてどう読まれようとも、『変身』は絶望を絶望として書き切った文学として、じっと人々のそばにたたずんでいる。
カスタマーレビュー
⚠︎ネタバレあり。ただ虚しかった。
家族に対して献身的であった主人公。
そんな主人公に家族はある種依存していたようなのに、虫と化したら冷遇。
そして主人公が死したら、何かから解放されたように未来を見据える家族の姿勢が哀しかった。
人間の変わり様が虚しく感じた作品。
こわい
自分もしくは家族が、虫でなくとも似たような状態、状況に陥ったらこのような結末になってしまうのだろうか。
🐛🐝🐜🐞🐌
(´・_・`)カワイソウナヒト…