宵山万華鏡
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- ¥440
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発行者による作品情報
祇園宵山の京都で、誘い込まれた妖しい迷宮。夏までの期間限定サークル「祇園祭司令部」に集まった学生たち。変人ぞろいの彼らが用意した大舞台、いったい何をたくらんでいるのか?(「宵山劇場」)。「祇園祭宵山法度」で現行犯逮捕。連れ去られた藤田の地獄めぐりがはじまった……(「宵山金魚」)。吃驚仰天の新世界! 6つの物語が交錯し妖しくつながっていく連作中篇集。
APPLE BOOKSのレビュー
毎夏、京都の街で繰り広げられる祇園祭 − その中でも最も賑わいをみせる宵山での一日を描いた連作短編集「宵山万華鏡」。祭りの華やかな喧噪の裏で、個性的な登場人物たちは妖しくも不可思議な出来事に遭遇する。金魚、赤い浴衣の女の子、異形の者、宵山様とイメージも鮮烈に、ある時は恐ろしく、ある時は幻想的で、時には笑わせてくれる物語たち。それぞれ独立した作品ながら、どこかしらでつながっており、タイトルの通り万華鏡のようにさまざまな角度から光を当てた美しいタペストリーを編み上げてゆく。著者の森見登美彦自身が京都大学出身で、殆どの作品が京都を舞台にしており、本作も読めば必ず宵山に足を踏み入れたくなる。
カスタマーレビュー
それでも楽しく読ませられたんだけどね。
祇園祭の宵山を題材にした連作短編集。
それぞれのお話に登場する人々が違う目線で描かれているので、通常以上に深く活き活きとしているように感じます。
とはいえ、京都や祇園祭を知っていたらもっと楽しく読めたんだろうな、と。
ファンタジー色が強い傑作
「きつねのはなし」に通ずる暗さといつもの阿呆なお祭り騒ぎが渾然とした作品だと感じました。
舞台は祇園祭ですが、夜店の並ぶ明るい道と一本外れた暗い路地を思い浮かべれば、地方の夏祭りの情景に置き換えられると思います。舞台が祇園祭なだけで、日常と非日常の交差するファンタジーとして読めば場所がどこであるかは問題ではないでしょう。
これから多くの傑作を書かれるであろう作者ですが、代表作の一つとして語り継がれる作品になると感じています。