教誨
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- ¥1,600
発行者による作品情報
女性死刑囚の心に迫る本格的長編犯罪小説!
幼女二人を殺害した女性死刑囚が最期に遺した言葉――
「約束は守ったよ、褒めて」
吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。
APPLE BOOKSのレビュー
我が子を含む幼女2人を殺したとされる女性死刑囚。彼女が最期まで守った約束とは。秋田連続児童殺害事件をモチーフとして、ただ幸せになりたかっただけなのに、不幸な生い立ちから死刑囚となった女性の肖像を描いた犯罪小説。死刑囚、三原響子の遠縁に当たる吉沢香純と母の静江は、ほとんど会ったこともないのに身元引受人に指名されており、死刑の執行後、遺骨と遺品を引き取りに来てほしいとの連絡を受ける。10年前の青森で、8歳の娘、愛理と近所に住む栞ちゃんを殺害した容疑で逮捕され、死刑が確定した響子。だが、香純が9歳の時に本家の庭で会った15歳の響子の姿と、報道された鬼母像はあまりに違う。さらに最期の言葉が「約束は守ったよ、褒めて」だと知った香純は、響子の真意を探るため、納骨を拒む三原の本家がある青森に向かう…。香純が事件について調べ、徐々に明らかになる響子の報道とは異なる姿と、拘置所で刻々と近付く死刑執行を待つ響子自身の内面。これらがカットバックで描かれるが、狭すぎる社会や世間の目が真実をゆがめるさまを問う作者の筆は鋭い。なぜ愛娘をあやめたのか。当人にすら分からない閉鎖的な社会の理不尽を描く悲しみのミステリー。
カスタマーレビュー
業
犯罪小説、ではないと思います。
賛/否あった「地獄(映画)」から40年経て、柚月先生が最新卓越した筆致で描いた確固な業の別話。
読み終えて落ち込んで数日、
文学が技術だとすれば、最新のそれはここ迄来たのかと思った。僕は理系だけど