



日の名残り
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4.0 • 101件の評価
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- ¥630
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発行者による作品情報
短い旅に出た老執事が、美しい田園風景のなか古き佳き時代を回想する。長年仕えた卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々……。遠い思い出は輝きながら胸のなかで生き続ける。失われゆく伝統的英国を描く英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
2017年のノーベル文学賞受賞で話題を集めた作家カズオ・イシグロ。1989年に発表された「日の名残り」は、主人公による一人称の語りでつづられた作品で、イギリス文学の最高峰ともいえるブッカー賞を35歳で受賞した。時代は1956年、執事としての品格にこだわるスティーブンスは、個人の感情を表に出さず、ただ仕事に従順に勤めてきた。今はアメリカ人のファラディ氏に仕える彼だが、かつての主人であり敬愛するイギリスの貴族、ダーリントン卿に仕えていた第1次、第2次世界大戦の時代の頃を回想しながら、一人語りでストーリーは穏やかに展開していく。古き良き時代を共に切り盛りしていた女中頭ミス・ケントンへの想いや、自我を抑え込んで生きてきた人生への後悔など、さまざまな所懐を吐露しながら、やがてそこから新たな光を探し始める。端正かつ緻密な筆致で人間の尊厳を描く感動作。
カスタマーレビュー
日の名残り
頑なな執事の人間味が、徐々に表に出始めて、どういうラストに繋がるのか、のめり込むように読みました。関わった人に寄りかかることが相手を幸せにすることもあるなと改めて思いを整理しました。
人生の選択を省みて
人生とは多くの選択の連続であり、さらにその背景には無数の情勢や人々の思惑があることを思い知らされた作品でした。ラストは本当に素晴らしいです。言葉にできない感動がありました。一読の価値は十分にあります。
必読の名著
純文学とはあまり縁のない私。
その私が。読み終えた時に感じた満足感。
それは、何か全ての漠然とした疑問が解き放たれた開放感のようななんとも言い表せない幸福感だった。
これはもしかしたら私のような、社会人としての人生の終わりが見えてきた人ならではの感想かもしれない。
是非、四十代、五十代の人に読んでほしい作品だと思う。