無人島に生きる十六人
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4.5 • 79件の評価
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発行者による作品情報
『無人島に生きる十六人』は日本の作家である須川邦彦の児童紀行。この作品は底本の「無人島に生きる十六人」に収録されている。作品には、「中川船長の話」、「龍睡丸出動の目的」、「探検船の準備」、「大西風」などが収録されている。
APPLE BOOKSのレビュー
東京高等商船学校の教官であった中川倉吉が1899年に体験した探検船の遭難と無人島漂流記を基にした実録海洋冒険譚『無人島に生きる十六人』。航海専門家の著者、須川邦彦が話を聞き取りつづった。明治31年(1898年)12月に小笠原諸島の漁業調査のために出港した龍睡丸。中川船長と乗組員による16人が乗った船は、翌年1月に激しい大西風により事故に遭い、ハワイ諸島のホノルル港へ寄港することに。在ハワイの日本人や、外国人の協力の下、船の修繕や品物の寄贈のおかげで新たな旅路へ出航したが、再びパール・エンド・ハーミーズ礁で座礁してしまう。龍睡丸を失った16人の乗組員たちは、救助がいつ来るかも分からない無人島での生活を始める…。目の前が真っ暗になってしまいそうな現実に対して、彼らの前向きでひたむきな姿が勇ましく、すがすがしい。自然を尊重して、感謝の心を持ち、無人島での日々の暮らしを良くするために互いの知恵を出し合い、協力し合い、心を一つにして過ごした16人の記録。『十五少年漂流記』のリアル版、そして仲違いのない平和な物語として、すべての世代の心に強く響くだろう。