絶望名人カフカの人生論
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4.5 • 4件の評価
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- ¥1,000
発行者による作品情報
カフカの超ネガティブな名言を集めた唯一無二の箴言集、待望の電子書籍化!
シリーズ第2弾『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』、本書をコミカライズした『マンガで読む絶望名人カフカの人生論』も大好評配信中!
APPLE BOOKSのレビュー
不条理文学の金字塔『変身』の著者として知られる文豪フランツ・カフカの、愚痴と弱音と自虐が満載の名言集。洋の東西を問わず、名言というものはポジティブな言葉であふれている。成功者の体験から導き出された言葉には確かに説得力がある。しかし、ここに生涯を通じて弱音を漏らし続けた偉人がいる。カフカの著作、メモ、手紙、会話など、あらゆる記録に残された絶望的な名言の数々は、あまりにも繊細過ぎて逆にユーモラス。人は弱い部分を見せられたときこそ親しみを増すものだが、共感を通り越して「カフカに比べれば自分の絶望なんてまだ甘い」とポジティブな気分にさせてくれるほど。編者である頭木弘樹のカフカへの愛に満ちた丁寧な解説も洒脱(しゃだつ)で秀逸。テレビで取り上げられ、コミカライズもされるなど、カフカ没後100年が過ぎた現代の我々にも大きく響く普遍性がある。そして、これほどまでにマイナス思考のカフカが、晩年に結核を患いどんなに世をはかなんでも、決して自ら命を絶とうとはしなかった点も忘れてはならないだろう。