遠野物語
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3.7 • 233件の評価
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発行者による作品情報
「日本人とは何か」を問い続けた柳田國男が、民間伝承の宝庫であった岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した説話集。欧米で流行していたスピリチュアリズムの影響を受け、民俗学的な関心を深めていく中、遠野地方の土淵村出身の民話蒐集家で小説家でもあった佐々木喜善と出会い、彼が語る遠野地方に伝わる伝承を柳田が筆記・編纂する形で、1910(明治43)年に出版された。『後狩詞記』、『石神問答』とならぶ柳田の初期三部作の一作で、『遠野物語』の反響により、1935(昭和10)年には各地から寄せられた民間伝承299話を追加した『遠野物語増補版』が発表された。その年、柳田は民間伝承の会(後の日本民俗学会)を創立すると共に雑誌「民間伝承」を刊行し、日本民俗学の独自の立場を確立した。
APPLE BOOKSのレビュー
岩手県遠野地方の不思議な言い伝えを集めた説話集。フィールドワークを重ねて日本民俗学の開拓者となった柳田国男が、口承文学の収集家である佐々木喜善の語りを格調高い流麗な文語体でつづり、明治43年(1910年)に発表した。遠野郷は、大昔は一帯が湖だったと伝えられ、女神が3人の娘に分け与えたという山々に囲まれている。この地では、家を守ってくれるオクナイサマやオシラサマ、旧家に住み着き、繁栄をもたらすザシキワラシなど、さまざまな土着信仰や奇談が語り継がれてきた。人里にやって来るカッパ、山奥で出くわす恐ろしい異形のてんぐ、とてつもなく大きな山男、中空を飛ぶように現れる山女…。収められた119の逸話は、常識的に考えると荒唐無稽なファンタジーに思えるが、昔の人々の自然観や死生観を知る手がかりとなるものだ。生活と自然の距離が近かったころ、人々はこのように世界を理解していたのだろう。そして、牧歌的な時代を懐かしむだけでなく、これからの生き方を考える上でも大切なことを教えてくれるはずだ。日本の民俗学の先駆けとも称される歴史的名著。
カスタマーレビュー
いいんだけど、
題目のページと本文のページがダブって表示されます。iPhone4S と iPod Touch G5
良い
良いが、一部乱丁が…
遠野物語を読んで
遠野のいにしえからの文化、風習、伝承、生活などを丁寧にまた緻密に書き留めている。
これは一地方であるが人々が生活していた壮大な記録である。
外人に読んでもらいたい作者の気持ちがわかる。
この物語は素直に読むことが重要だ。良し悪し、正義、分別などは必要ない。
細かすぎる描写や言葉など難しい箇所も多い。