魔食 味見方同心(一) 豪快クジラの活きづくり
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4.2 • 6件の評価
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発行者による作品情報
魚之進のもとに嫁いできたおのぶは、より積極的に事件の解明に関わるようになった。そして早速、二人で小網町を歩いていると、「クジラの活きづくり」の話を聞きつける。あまりに豪快で突拍子もない料理の仕方に、魚之進は味見方としてほっておけなくなる。奉行の筒井に報告すると死人も出ているという。相談の上、クジラ肉を商う「海獣屋」という店のことを魚之進が調べてみることに……。大人気「味見方同心」、待望の新シリーズ開始!
APPLE BOOKSのレビュー
グルメとミステリーが融合した異色の時代小説シリーズ第3弾。味見方同心とは、江戸市中の食い物の動向を探る、南町奉行所の特命同心。非業の死を遂げた兄に代わって味見方同心を継いだ月浦魚之進は、前シリーズの大事件を切り抜け、義姉への思いを断ち切り、めでたくおのぶと祝言を挙げて立派に成長。とはいうものの、相変わらず頼りないところがあり、同僚の本田伝八に岡っ引きの麻次親分、そして文武両道なおのぶのサポートを受ける。このチーム編成が絶妙で、捜査劇であり、人情ばなしでもあり、さらに魚之進とおのぶのユーモア満載な夫婦愛が加わり、物語にふくらみが出ている。個々の事件はそれぞれのエピソードで解決するが、さらに深い謎が隠されているという緻密な構成。軽妙で洒脱(しゃだつ)な文体は、物語全体を通して健在。副題の「クジラの活きづくり」は、シリーズの「クジラの姿焼き」に続く豪快料理。これに「化かされそば」「化粧寿司」「カラスの黒鍋」の全4編が収録。珍妙な料理の数々に引かれながら、「隠密」「潜入」に続いて「魔食」と銘打たれたシリーズタイトルの謎にも興味が尽きない。