きりぎりす
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4.3 • 143件の評価
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発行者による作品情報
「きりぎりす」は明治から昭和時代にかけて活躍した日本の小説家である太宰治の短編小説。無名の画家と結婚した妻の画家として成功した夫への語りかけという形式の作品であり、成功を機に変わってしまった夫への批判を書いたもの。
カスタマーレビュー
ファーストミッション
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純粋な心を持ち、そして清貧の思想を保ち続けることが人間というもののあるべき姿であるという語り手。怖いくらいはみ出すことを許さないように見える。一緒に暮らすと窮屈になりそう。
文体は好き。でもこういう一心な女性はちょっと怖い。
北野蓮
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太宰の眼
女性の眼を通して描かれる太宰の世界は辛辣だ。斜陽にも同じ様な感想を持ったが、きりぎりすは短編であるが故に、印象が統一されており、読み手に消えない傷を残す。錆び付いたノコギリで、脛の骨に届くか届かないかの深さで、切り裂かれる。瘡蓋の後を、見るたびにこの作品を思い出すだろうし、僕の背中にもきりぎりすを忍ばせ続けようと思った。