不思議な国の話
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3.8 • 30件の評価
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発行者による作品情報
『不思議な国の話』は、明治から昭和初期にかけて活躍した詩人・小説家、室生犀星の物語である。初出は2008(平成20)年9月10日。
「不思議な国の話」作品は、一般的な仮想の物語である。著者は、彼の妹と話し、自然の美しさを伝えるとともに、山、青空について記述されている。これは彼の妹と著者に関する非常に興味深い会話をある。
APPLE BOOKSのレビュー
山岳を聖地であり異界でもあるとする修験道の思想を象徴し、日本人の山への憧憬(しょうけい)と畏怖を幻想美と詩情でつづった作品。泉鏡花、徳田秋声と共に金沢三文豪の一人に数えられる室生犀星。泉鏡花の『黒壁』は、金沢の黒壁山を舞台にした作品だが、室生犀星も黒壁にまつわる『天狗』という怪談を手掛けており、金沢という土地の醸す魔力のようなものが、幻想や神秘が共存する作者独特の世界観に影響を与えているのかもしれない。『不思議な国の話』もそうした幻想譚の一編。医王山の山容に心引かれる“私”は、姉から山の麓にある村の、木薬屋の一家にまつわる不思議な話を聞かされるELL。山頂にある青い池とその中で泳ぐイモリ、池にかかる柴の浮き橋など、詩人でもある作者の豊かなイメージ表現が、情景描写に独自の彩りを添えている。話を聞き終えた“私”が医王山を眺めた時に感じた、「一つの生き物の様に見えた」という結びも印象的で、そこはかと漂う物悲しさも作品の余情を深いものにしている。昔話に登場する、山姥や鬼がすむ異界の入り口としての山。そんな、山に対する幼いころに抱いた漠然とした畏れや不思議さが思い起こされる。
カスタマーレビュー
きのこmushroom
、
good
文体が美しい
雰囲気がなんとも艶めかしい
知的ボーダー
、
ほのかに不気味な話
好きな話。
五感に訴える柔らかな文章が良かった。