駈込み訴え
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4.4 • 588件の評価
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発行者による作品情報
この作品を書いている、太宰治(だざいおさむ、1909年(明治42年)6月19日-1948年(昭和23年)6月13日)は、日本の小説家である。 この作品は底本の「走れメロス」では「日本の小説・物語」としてまとめられている。初出は「中央公論」1940(昭和15)年2月。
APPLE BOOKSのレビュー
かの名作『走れメロス』と同じく1940年に発表されたこの短編小説は、太宰治の口述を妻の美知子が書き取った異色の一作。聖書のイエスとユダの物語をモチーフとして、裏切り者ユダの心中を太宰が代弁するような内容となっている。「申し上げます。申し上げます。旦那さま」と始まるユダの訴えは、なぜ自分が“あの人”(イエス)を裏切るに至ったのかを詳らかにしていくもの。かつては慕い尊んだ師へのゆがんだ感情がとめどなくほとばしる言葉のスピードと切迫感に圧倒される。太宰は流れるようにしゃべり続けた、と美知子が後に証言した本作の口述スタイルは、自身のざんげとも、イエスへの告発とも取れるユダの語りにふさわしいといえるだろう。激情に駆られて話し続けるユダのイエスへの憎しみはどこまでも苛烈で妄執的だが、途中でふと漏らすイエスへの愛は揺るぎなく普遍的な響きを持つ。愛が憎しみへと変わる物語、愛と憎しみは表裏一体であるというテーマを書かせたら右に出る者はいない文豪、太宰の本領が発揮された作品。
カスタマーレビュー
疾走感と気味悪さ
ずーっと顔を近づけられて早口の大声で喋られている不快感。情緒不安定で感情の浮き沈みがかなり激しい。
しかし終わり方はさっぱりした気味の悪さで、早口でバーっと喋られて、訳がわからないのに面白いと感じる不思議な気持ちになりました。
聖書も読もうと思います。
好きです………
感情描写がとても良いです
感想
この少ないページ数で主人公の好きな人への愛憎がとても鮮明に感じてとても面白かったです。
文章自体も読みやすいと思います。