城の崎にて・小僧の神様
-
-
3.4 • 7件の評価
-
-
- ¥600
-
- ¥600
発行者による作品情報
秤屋ではたらく小僧の仙吉は、番頭たちの噂話を聞いて、屋台の鮨屋にむかったもののお金が足りず、お鮨は食べられなかった上に恥をかく。ところが数日後。仙吉のお店にやってきた紳士が、お鮨をたらふくご馳走してくれたのだった! はたしてこの紳士の正体は……? 小僧の体験をユーモアたっぷりに描く「小僧の神様」、作者自身の経験をもとに綴られた「城の崎にて」など、作者のもっとも実りの多き時期に描かれた充実の作品集。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
カスタマーレビュー
yamanobek
、
城崎にて”城の崎にて”
“城の崎にて”他 志賀直哉 1917年著
城崎温泉に行く道すから、旅情をかきたてるために読んでみた。
志賀直哉 1883年 - 1971年
宮城県生まれ、東京育ち。白樺派、私小説、心境小説。小説の神様とも。
心境小説というジャンル
作者が日常生活で目に触れたものを描きながら、その中に自己の心境を調和のとれた筆致で表現した小説。
“城の崎にて”
物語の”彼”の心理描写を著者自身を重ねて、深掘りする。なるほど、ここが面白い。そして、話が半分すぎたくらいの雰囲気のなか、急な停電で電気が落ちるかのように、それぞれの短編が幕を閉じる。
大きめの余韻。なんだか、物語の続きは、現実にどこかで進んでいるんだろうな—と思えるような不思議な手触り。
心理描写は、複雑だけど、”あぁ、この感覚前にどこかで—“みたいに感じる。引き込まれる。生と死、男性心理と女性心理、句読点の位置など、巧みな表現方法。古典から学ぶことは多い。
——— 外湯巡りと、城崎グルメ、旅館のだんなの献身性。たどり着いたこの温泉地は、最高の空気でした。