恥
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4.0 • 297件の評価
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発行者による作品情報
この作品を書いている太宰治(だざいおさむ、1909年(明治42年)6月19日-1948年(昭和23年)6月13日)は、日本の小説家である。
この作品は底本の「太宰治全集4」では「日本の小説・物語」としてまとめられている。初出は「婦人画報」1942(昭和17)年1月。
APPLE BOOKSのレビュー
「恥の多い生涯を送って来ました」という『人間失格』の一節があまりにも有名な太宰治。その6年前の1942年に発表した短編が、『恥』である。自意識過剰な若い女性読者が上から目線で小説家に講釈を垂れるものの大恥をかいてしまったという、シニカルなユーモアにあふれた一編だ。和子は友人の菊子に「恥をかいちゃったわよ」と訴える。小説家の戸田に手紙を出し、数々の欠点を指摘したところ、その後に発表された戸田の小説は自分をモデルに書かれていた。そこで和子は戸田の家を訪ねたのだが、彼は想像していた貧乏作家とはまるで違うばかりか、和子のことなど知らないと言う。すべては和子の早合点だったのだ…。訳知り顔のファンというものを少々意地の悪い視点で描き、笑いを誘う小編。SNSが普及した現代にこそ、多くの人に刺さる物語といえるのではないだろうか。著名人を身近に感じられるようになった今、似たようなことは日々起こっているに違いない。太宰治といえば自虐的かつ陰鬱(いんうつ)なイメージが強いかもしれないが、こうした優れたユーモアあふれる小説も彼の真骨頂。太宰治のもう一つの魅力にぜひ触れてほしい。
カスタマーレビュー
恥
恥すぎて笑った
太宰は何のためにこれを書いたのか
自分が舐められないように書いたのかなぁ。
変なファンって多かったんだろーなー。
映画でもこれは自分のストーリーだって言う主人公の映画あったよね。何だったっけ?
恥知らずな文豪へのアンチテーゼ
太宰の作家としてのスタンスからすると、「恥」とは他人の苦難を解さない戸田という小説家の有り様であり、当時の文壇に居座っていた恥知らずな文豪へのアンチテーゼとしての作品であろう。傑作な短編である。